どういった経緯で住宅収納スペシャリストという資格を取得したのか。
住宅収納スペシャリストという資格を普段の仕事にどういかしているのか。様々な場面で住宅収納スペシャリストとしてすでに活躍されている方にインタビューし、リアルな声を皆様にお届けしていきます!
Vol.16 髙橋真美子さん
<プロフィール>
髙橋真美子(たかはし まみこ)
+Comfort(プラスコンフォート)代表
大阪府箕面市在住
建築士、IC,リフォームアドバイザー歴20年になります。
元々は、インテリアコーディネーター希望で勉強を始めましたがどう考えても現場の経験と知識がなければ限界が来ると感じて通期一貫で担当出来るリフォームに興味を持ちました。住宅設備メーカのリクシルのリフォームショップで15年、起業して5年個人経営の工務店をしています。通常のリフォーム業務の流れだけでなく、女性目線と経験を活かして実際にリフォームが始まるとユーザーが経験する様々なことに、しっかり対応出来るように事前の準備を提唱、サポートしています。
■+Comfor(プラスコンフォート)のHP https://pluscomfort-renove.com

F様邸 狭くて長いLDKをゾーニングでメリハリのある空間に
リビング~キッチンを見る
手元は見えず、生活感も感じないように考えました。
キッチンは通路に向いていますが、見えるのは美しい背面収納になります。
住宅収納スペシャリストとの出会い(取得した動機)
ある時期から、リフォームには事前準備にスキルが必要だと感じる様になりました。
リフォームの時、お客様は慣れないことで頭が混乱し、迷いでいっぱいになってしまいます。
それに対して相談される担当者はビジネスとしての効率を商談に求められるので、お客様のペースに合わせたくても出来ないことも多々あります。その傾向はこれからもっと強くなるはずです。ユーザーに必要な準備とは何か?模索している時、「断捨離、整理」というキーワードに惹かれ、これはきっとリフォームに必要な要素であるに違いないと確信し、整理収納を学び整理収納アドバイザー1級の資格をとりました。
そして、更に深く学びたくなり、整理収納アドバイザーの資格を発行しているハウスキーピング協会のアカデミアに参加、そこで住宅スペシャリストのことを知ることになりました。片付けを仕事にしているプロが作った内容であり、心地いい空間を作る為の仕組み作りをユーザー目線でまとめ上げているので長年、住宅に関わってきた私にとって大変参考になりました。
- 和室側 洗面台を薄型にして収納スペースを残したことがとても喜ばれました。
- 洗面側 移設したため大きい三面鏡に出来ました。
- N様邸図面 和室の押入れを半分潰して、洗面側にスペースを作りました。
住宅収納スペシャリストを受けて変わったこと
資格を取り、「リフォーム×整理」というテーマを意識して仕事を進めるようになってから以前よりも更に深く住宅設備や内装の交換で終わらせない、付加価値を提案に盛り込むようにしています。
リフォームの場合、どのお客様にも「既存の暮らし」があり、そこには数々の問題点があります。その問題点の解決の為に「限られた予算と時間の中で何が出来るのか、必要なのか」という事がとても重要になってきます。その為、出来ることを的確に選ぶ為には、様々な暮らしの要素を整理するということが重要かつ必要になります。この整理をお客様に理解して頂けると本当に楽に効率よく仕事が進められ、お客様にとっても満足と節約につながります。もちろん、現場で働く職人さん達にも実力を発揮出来る環境が整うのです。これがリフォームの為の整理の効果だと私は考えています。
この整理に導く為にはヒアリングがとても大切なのですが、住宅スペシャリストのオリジナルシートを使うとポイントを押さえられるし、分かり易いので活用させて頂き、聞き漏れやコミュニケーションのミスやロスを軽減出来るようになり助かっています。
今後の展開(夢)
今回、コロナ禍でたっぷり時間が出来たこともあり、落ち込む気持ちを振り払えるような前向きなことに取り組みたいと以前から興味のあった電子書籍の出版にチャレンジしました。ご興味のある方は是非、ご一読頂ければ嬉しいです。
出版の原動力になったのは、リフォームというのは、形あるものを買うのとは全く違うということをユーザーに知って欲しい、実感して欲しいと思ったからです。

Amazon kindleで購入いただけます。
ご興味あれば、ご一読くだされば嬉しいです。
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建築の中でも特にリフォームは、壊して作り直すという工程により分かりにくい、やってみなければ分からない、現場での高い対応力が求められるなどの特色があります。だからこそ、お客様はリフォームの時、施主という立場でプロにお任せとは思わず、一緒に考え、悩み、作り上げるプロジェクトに参加するのだという意識が必要になります。その事への理解が無ければ、問題はたちまちクレームになりますが、理解を持てれば問題解決への過程に変わります。チームはお客様の夢を形にする為に力を発揮出来、その関係は長く暮らしを支える力強いサポーターになるはずです。不毛なクレームなど無くしたい、その為にも事前にリフォームのことを学んで欲しい、自分の暮らしを見直すという準備をしっかりして欲しいのだということを伝えたくて出版にチャレンジしたというわけです。
私の願いはリフォーム業界の底上げと女性のポジショニングの確立です。意気揚々と業界に入ってきた女性の多くは長く勤務出来ず、辞めてしまうということが多いのですが、それは女性がこの業界に合わないということではなく、女性の特性を上手く活かせていないという事の証拠なのではないかと思います。女性は住空間に対する興味や思いが強く、売るということよりもその内容に興味があることが多いのですが、成約や現場を納めるという重圧に弱いということもあるでしょう。
リフォームを含め住宅業界は、受注への優先順位が高く、長い目で顧客を育てるということが苦手なのかもしれません。しかし、長く続いている工務店は沢山のOB客に支えられているという事実があります。そのことから考えてもお客様に寄り添う力をもった女性がもっと活躍出来るチャンスがあるのではないかと思っています。つまり、お客様に寄り添い、育てるということで業界を改革出来る力が女性にはあると思うのです。
また商談中、価格交渉やプラン作りに没頭しその先の工程である現場の苦労を忘れがちです。しかし、実際にすべては現場で作られます。現場が滞ることがないように配慮する事はとても大切なことですし、お客様も営業担当者も現場のことを考えるようになればやるべきことは自然に見えてきます。(その一つにモノの片付けも含まれます。)結果として現場の職人、スタッフも感謝をして動く、出来るだけのことをするといった良い循環が生まれるように思います。きっと自然と良いチームになるのですね。これが業界全体の底上げに繋がります。
業界を改革したいなんて夢のような話だと思う方もいらっしゃるかもわかりませんが、私は結構本気で夢を追いかけています。住宅収納スペシャリストのような暮らしを大切に思う女性がもっと活躍出来る、そんなリフォーム業界になるように頑張りたいと思います。皆さんも応援していただければ嬉しいです。
さて、第十六回目の「全国の住スペ紹介」、いかがでしたでしょうか。
『本当に聞きたかったリフォームのことが分かる本』を読んでみました。
情熱的でパワフルな高橋さんの熱い思いが、伝わってきました。
仕事をしていくなかで「家づくりに整理は欠かせない!」と思われた経験が書かれています。そして、リフォーム業界の事情についても。
今まで知る機会の無い内容で、勉強になりました。
高橋さんのように、整理と収納の重要性を伝えられる女性が増えると、リフォーム依頼の時に片付けが苦手な方もスムーズに家づくりができますね。
女性がもっと活躍出来る業界になるよう、応援しています。
■ 私の働き方インタビュー Back number
Vol.1 井上晃代さん(住宅収納スペシャリスト認定講師、住まいるハート代表)
Vol.2 日浦弘子さん(住宅収納スペシャリスト認定講師、快適な暮らしフルサポートMjuk(ミューク)主宰)
Vol.3 小森 晶さん(ミサワリフォーム株式会社 東京西支店 武蔵野営業部 三鷹マンションリフォームプラザ Studio Felice代表)
Vol.4 國影こず江さん(住宅収納スペシャリスト認定講師、K’z door代表)
Vol.5 猪爪夕子さん(クリナップテクノサービス株式会社・リテール推進部勤務)
Vol.6 石田 雅一さん(積水ハウス株式会社 郡山支店 統括課長)
Vol.7 市川めぐみさん(インテリアコーディネーター)
Vol.8 大沼典子さん(株式会社富樫工業 住宅営業)
Vol.9 大熊千賀(住宅収納スペシャリスト認定講師、暮らしStyle 代表)
Vol.10 木村 淳史さん(旭化成ホームズ株式会社 住宅営業)
Vol.11 植村寿美子さん(フリーランス)
Vol.12 岡田幸子さん(六本木工務店)
Vol.13 矢吹信子さん(整理収納マイスタイル)
Vol.14 新井友紀子さん(片付く間取りの相談室)
Vol.15 齊藤絵美さん(e-cube代表)